「HEAT20」という、この聞き慣れない言葉の意味は「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」のことで、「HEAT20は長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱などの建築的対応技術に着目し、住宅の熱的シェルターの高性能化と居住者の健康維持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法、そして断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体です。メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって構成されています。」と説明されている。

HEAT20

国土交通省はいまの日本の新築住宅の仕様を、2020年までに全てエコ住宅にしようとしているが、じゃあ実際その仕様がどの程度かというと、けして断熱性能がものすごく高くなっている訳では無く、ボクの事務所の仕様として、昨年までふつーに使っていた仕様と同程度。

今まではその仕様で充分と考え、そう設計してきたが、実際に北海道の住宅の快適さを一度体感してしまうと、こちらの住宅でも、同じような快適さを求めたくなる。コストを抑えつつ断熱性能をいかに高めるか、高めた時に問題は出ないのか。どれくらいまでの性能にすれば適正な高断熱住宅と言えるのか・・・。

もっぱらそんな事を考えているときに辿り着いたのが上記のサイト、HEAT20。有志の民間団体なので法的な強制力も何もないが、一つの物差しにはなりそうで、そこで設定されている外皮性能グレードは国の定めた性能レベルを、かなり大幅に向上させている。

その物差しがこれ。HEAT20外皮性能グレード http://www.heat20.jp/grade/index.html

建築場所の地域区分として札幌は2地域、茨城県はほとんどが5地域、一部筑波山周辺や大子町、常陸大宮市の旧美和村などが4地域になる。札幌T邸の外皮平均熱貫流率(以下UA値)はギリギリ0.34W/㎡K(ワットパーヘイベイケルビンと呼ぶ)なので、G1グレード。体感的にはこのG1グレードをクリアしていると、かなり暖かい。

いま、常陸大宮市に建築中のF邸はこのUA値が0.47w/㎡Kなので、

DSCN9591_518

見事G1ラベル獲得。F邸の仕様としては屋根の断熱材は昨年からの仕様を変えず、壁のグラスウールを36Kと高性能のものに変更し、サッシは全て樹脂サッシにしている。これだけでも充分G1グレードが確保可能。このG1グレードならエアコン一つで充分快適な生活が出来るはずなので、F邸の設計には床置きエアコンが実装されている。たぶんペレットストーブは・・・インテリアのひとつになる・・・かな(苦笑)。ちなみに今どきのエコ住宅と呼ばれる住宅の性能は、このUA値が0.87w/㎡Kなので、いかにF邸の断熱性能が良いことか。

さすがにG2グレードにしようとするとUA値0.34で、これは札幌T邸と同じ仕様になるので、屋根も壁も200mm断熱(充填100mm+外張り100mm)、サッシは全てトリプルガラスが必要となり、いまはまだまだコストが追いついていかないと思うが、ゆくゆくは全てG2グレードにしていきたいので、高断熱高気密住宅に手慣れた北海道の大工さんに、ちょっくら出稼ぎに来てもらうにはどうしたらいいか、考えるか・・・。

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宇津義和 代表兼設計士

茨城県水戸市宇津建築設計事務所 代表の宇津です。お気軽にご相談ください。

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