ガラス面の結露

薪ストーブを住まいに導入した場合、よく言われるのが、湿度が下がるという事。

冬期の室内湿度が30%を切るのも珍しくないらしい。 湿度が低ければ、それだけ室内で結露する可能性が低くなる。 もちろん人間にとっては少し低すぎるので、逆に加湿器を付けるくらい。 それだけ湿度が低いと、ガラス面での結露は発生するのかどうか気になるところ。 ガラスの熱貫流率は、種類、厚さによって多少が変わるが、一般的に、 普通ペアガラス:3.0W/㎡・K 単板ガラス:6.0 W/㎡・K くらいになる。

ガラス面の室内側の表面温度を求める計算式は、 外気温:to、室温:ti、熱貫流率:K、とすると、 ti-(K/9)(ti-to) なので、(9は空気の熱伝導率) 仮に、外気温0℃、室温20℃とすると、 普通ペアガラスの表面温度は13.3℃、単板ガラスは6.7℃となる。 (この計算式の求め方を知りたい方はボクの担当する環境工学の講義に出席してください(笑))

室温20℃、湿度30%の空気の露点温度(結露する温度)は、 空気線図より約2℃になる。(40%で約4℃) つまり、薪ストーブを入れた場合、 外気温が0℃程度であれば、計算上はガラス面に結露しないことになる。 水戸でも冬期の最低気温が-10℃くらいになる日何年かに一度はあるが、 ほとんど-3~4℃が最低気温になる。

-4℃の時でもガラス面表面温度は+4℃あるので、 室内湿度が40%で結露するかしないか、してもうっすらとガラスが曇る程度と予想出来る。 一体なんのためにペアガラスを入れるのか・・・。 もちろん、薪ストーブを入れたんだから、ガラスは単板にしなさい、なんて言うつもりは全くない。

しかし、住まいは常に費用対効果を考える必要があるという事。 これらはあくまでも計算上の話しではあるが、 そもそも、現在の住まいづくりは建材メーカー主導の論理になっていて、 気がつかないうちにメーカーのための住まいづくりになっているのが疑いようの無い事実。

たしかにペアガラスを入れておけば一年中結露はしないかもしれない。 単板ガラスであれば、氷点下の日は多少結露もするだろう。 でも朝方起きて、窓の結露を見て「今日は寒いから結露してるな」と考えて、 大事な住まいの窓枠が濡れていないかどうか見てあげる。

こういうモノを大切にする気持ちを持っている人が、 一番エコロジーなんだと思う。 何も考えずに必要のないモノにまでお金払う。 消費を過剰に繰り返し、石油に依存してきたツケが今来ている。 このままボクたちが消費を続けていたら、 ボクたちの子どもたちが大人になる頃、 この地球は一体どうなるのか・・・。そろそろ真剣に考えないといけないハズ。

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宇津義和 代表兼設計士

茨城県水戸市宇津建築設計事務所 代表の宇津です。お気軽にご相談ください。

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