札幌T邸~引き渡し~

昨日28日、ちょうど1年前から相談を受けていた、札幌市手稲区のT邸が竣工し、北区の拓友建設さんから当家に引き渡された。

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2,3日前に降った雪ですっかり札幌も冬の景色に変わり、茨城なら交通機関がストップする程の雪が残っている(苦笑)。

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外構工事まで進める時間も無かったが、住まいの周りのみ、雪を溜めたり薪を運んだり、灯油やガスを供給したりするために車を停めるスペースのみ、本体と一緒に施工している。

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建物の外部の仕様としては、屋根はガルバリウム鋼板の蟻掛け葺き。北海道では蟻掛け葺きが一般的で、既製品のタテハゼ葺きはほとんど見かけない。蟻掛けは働き幅の中心にハゼが折ってあり、嵌合は板金業者が現場にて手で折っていく。屋根の下の断熱材はスタイロフォームFGで、熱伝導率0.022W/㎡・Kという高性能断熱材75mmを2枚重ねている。

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外壁はサイディングを下地にして、上にスクラッチ状の45角4丁のタイル貼り。どんよりとした札幌の天気にも映える、明るめのレンガ色。サッシは北海道では当たり前の樹脂サッシ+トリプルガラス。今でこそYKKもリクシルもトリプルガラスの樹脂サッシを造っているが、実はこの大手メーカーが後発組。だって北海道しか売れない商品を本気で開発する訳が無い(苦笑)。今回はYKKapのAPW430。外壁の断熱材は充填断熱材を24Kのグラスウールとして、外張り断熱材・スタイロフォームFG75mmを付加している。この結果、UA値0.35という高断熱住宅になった。等級4の基準値0.46を30%上回る数値。

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 その断熱性能に寄与している玄関ドア。木製だが・・・、

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ドアの厚さは60mmほどありかなりの重量なので、ドアのストッパーはラッチではなくローラーキャッチがドアに3カ所付いている。それによってドアを単純に引く、押すだけで開閉可能になっている。これでも気密性は抜群のスグレモノ。

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玄関と奥の玄関収納内部の壁仕上げもタイル貼り。何しろ雪の日でも傘をささずにベタベタに濡れた状態で子どもたちが帰宅するので。雪国の生活は想像以上にハード。

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主暖房は薪ストーブ。イタリア製のドミノ8。かなり大型のストーブで上段が炉室、下段がオーブンになっており、さらに、

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天板が鋳物の五徳のようなつくりで、ここもかなり・・・おそらく250~300℃くらいの高温になるはず。どちらかと言うと住宅よりは店舗などで使うような薪ストーブかな(苦笑)。

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キッチンはタカラのアイランドキッチン。見えないがこっちにもオーブンがある。どんだけ北海道はオーブン使う家のか(苦笑)。キッチンの手前にダイニングテーブルを置いて、キッチンとテーブルを連続して照らすペンダントはflame製。写真では認識不可能だがネイビー、グレー、グリーンの3色構成。床材は乱尺貼りのタモ無垢材、木製建具もタモの突板の仕様。キッチンのみ床がコルクタイル、建具は白の面材としている。

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14時から設備や建具の取扱説明や書類の引き渡しも済ませ、16時からは薪ストーブの取説と点火式。このストーブの弱点は外気導入型ではないところで、高気密住宅では近くの窓を開けるくらいでないとうまく着火出来そうもない。少し使ってみて、窓を開けて着火するのが実用的でないようであれば、基礎を貫通して外気を導入するスリーブを床に設けるようかもしれない。

兎にも角にも1年間でなんとかかんとか、遠方でかつ寒冷地という、今までに無い環境の業務が無事終了した。雪が降る前に引っ越し、という要望には滑り込みアウトだったが(苦笑)、陽が差せばエアコンをつけないくらいでもかなり暖かいレベルの住宅に出来た実感があり、この経験はこれからの設計業務に大いに参考になると考えている。

竣工おめでとうございました。引っ越し後もストーブの使い方はじめ、相談事もあると思いますので、その時はまた、日曜夜のskypeミーティングで。

(施工:拓友建設株式会社)

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宇津義和 代表兼設計士

茨城県水戸市宇津建築設計事務所 代表の宇津です。お気軽にご相談ください。

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