今月いっぱいで大工工事を仕上げる予定の美原N邸の現場では、
壁・天井の下地が片付き、棟梁は専ら造作しごと。住まいの出来映えに影響の大きい仕事だけに、
棟梁からは、図面に書ききれていない部分の細かな納まりの確認がどんどん出てくる。
住宅は、毎日使う日用品でもあるので、細部は極力シンプルに、が基本だと思う。
特に、美原N邸はコンパクトな住まいなので、細部の工夫がより必要で、
工夫の手法としては、兼用したり、隙間を使ったり・・・。
階段を上がると、階段脇にはシナランバーの箱があり、
この箱は用途としては本箱。
そして、この本箱が、小さな子どもの落下防止用の手摺を受ける鴨居にもなり、
夏場のエアコンからの冷気を1階に逃がさないバリアーにもなる。
手摺を閉まっておけば本は見えなくなり、2階がすっきりする。
ただ、考えるのは簡単でも、現場で作るのは大変で、
こんな工夫をすれば使い勝手も良くなる一方、コストにも影響するのが、
設計者としては頭の痛いところだが、床面積が小さめの住まいには、このような、
兼用する工夫をすれば、大きな住まいには無い使い勝手の良さが出てくるはず。