寄せ棟屋根の住まい

もし一番好きな屋根の形は?と聞かれたら、ボクは迷わず寄せ棟の屋根と答えると思う。学生の頃、何気なく見ていた建築本に出ていた故篠原一男氏の白の家の写真から、鼻血が出そうなくらいの(笑)衝撃を受けて以来、寄せ棟の屋根への憧れがある。正確に言うと単なる寄せ棟ではなく平面形状が正方形になっている「方形(ほうぎょう)」の屋根。隅棟が一点に集まる方形屋根以上に綺麗な屋根の形は無いと思う。

ただし、実際に方形の屋根を設計出来るかというと、そもそも平面が正方形でないといけないので、かれこれもう50軒くらい住宅の設計をしているとは言え、未だに方形屋根の住まいは設計した事が無い。辛うじて一番方形に近づいたのが笠間の旭町N邸。N邸も残念ながら寄せ棟で、方形屋根になっているわけではない。

昨日の午後、初回のプレゼンを行ったT海村F場に建築予定のH邸の住まいは・・・、敷地もゆったりしており、ご要望は平屋の住まい、要望室面積を合算するとおよそ36坪くらいか。36坪?なら6×6間が可能か?これはもしかして屋根は方形が出来るか?と、もう最初から平面を正方形に、屋根は方形屋根に決め打ちでプラン検討(笑)・・・。当然ながらそんな簡単にスッキリ正方形のプランなんて出来るはずもなく、擦った揉んだの末にようやく正方形にまとめる事が出来た。

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平面が正方形にまとまったので、屋根を方形にして外観の検討をしてみると・・・意外と・・・カッコ悪く(苦笑)、軒を1間も出してもまだ・・・カッコ悪い(苦笑)。軒高抑えても・・・カッコ悪い(苦笑)。屋根だけでさらに擦った揉んだしてようやく決まったのがこのデザイン。屋根の頂点を偏心させている方形屋根。勾配の緩い面の軒を大きく伸ばして、勾配がきつい面の軒はあまり出していない。

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横から見るとこんな感じ。こちらがメインのアングルで、完成すると幹線道路からよーーく見える。

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平面形状が正方形にまとまったというのはちょっと大げさで、実は東南方向に一部張り出している部屋がある。

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リビングの大きな引き込みのサッシのセンターも煙突も、もちろん屋根のセンターに合わせている。合わせないと屋根の構造を部屋の上部に現した時に微妙にズレて非常にマヌケな設計になってしまうので。

せっかく平面の形状が正方形になったんだから、ぴしーーっと方形屋根にすれば良いものを、わざわざ崩してしまうのってどうなんだ?とも考えたが、崩してより綺麗なプロポーションの住まいになるなら、それはそれでOKだろう。完璧な方形屋根に至るまでは・・・あと50軒くらい設計しないとたどり着けない高みの頂きなのかもしれない(苦笑)。

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宇津義和 代表兼設計士

茨城県水戸市宇津建築設計事務所 代表の宇津です。お気軽にご相談ください。

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