木造住宅の構造材として、無垢材がいいか、集成材がいいか、という議論になる事がある。
現在、ハウスメーカーの多くが集成材を採用しており、
有名なのが積水のシャーウッド。
一方、ハウスメーカー以外の工務店は無垢材が多い。
工務店のサイトを見ると集成材のネガティブキャンペーンを張り、
メーカーはメーカーで集成材の良さを強調している。
昔から木は適材適所、それぞれの部材への荷重のかかり方に適した木材が使われており、
引張強度、圧縮強度、曲げ強度、せん断強度というような、
構造力学で使われる専門用語を知らない棟梁が、長年の経験に基づく直感で、
木造の架構を全て決定していた。
今は梁のスパン表に基づいて梁成を出しているので、
無垢材でも集成材でも断面の基準寸法はクリアしているはず。
じゃあ、やっぱり無垢材と集成材、どっちがいいのかとなると・・・、
コストバランスを考えると、無垢材ベース+大断面の梁のみ集成材、
という事になり、構造の性能重視だと、オール集成材、となる。
無垢材だけでは、
こんな、柱を起点に両側の梁レベルを半層ずらす架構なんて無理なので。
集成材の心配なところは接着剤の耐久性と人体への影響(シックハウス)だと思うが、
シックが出るとすれば建ててすぐなので、実体験的には影響は無いと言える。
あとは耐久性。この検証はまだ時間が必要だが、
そもそもオール集成材で建てた住まいの膨大な軒数を考えれば、問題ないはず・・・。
ただ、コスト的にはオール集成材の方が分が悪い。
結局は、無垢材信仰というか、御柱信仰というか、
家を支える大事な柱に貼りモノの木材を使うのは・・・、
という柱に対する信仰のようなものではないか?
ここが難しいところで、実際に家を支える構造材で重要なのは、梁、であり、
柱は配置をしっかり検討すれば、断面に問題が出ることは無い、木造の場合。
じゃあ、なんで昔は大黒柱があったのか、と言うと、
あれは四方から梁がぶつかってくる柱が、その梁を受けるホゾ穴で穴だらけになってしまうので、
大黒柱と称して太くして、その家の主の甲斐性を象徴化していたにすぎない。
荷重だけで考えれば120角で十分。
現状、ボクとしては、オール集成材のSE工法でないと出来ない架構ならSE工法、
その他は、無垢材+一部の梁のみ集成材、と使い分けていこうと考えており、
ゆくゆくはもう少し、SEの比率を上げていきたいが、
なんせ・・・U邸がSEASのパンフの表紙になっても・・・、
SEASのサイトのトップの画像に使われても・・・、
SE工法の問い合わせなんて・・・ただの一件も無いので(爆笑)、
まぁ、これからしばらく様子を見るしかない(苦笑)。