田彦O邸の現場では壁・天井下地の石膏ボード貼りもほぼ終え、
現場で造作する収納などの製作に入っている。
監督さんや大工さんとの打合せは見せ場の階段の細かな納まりについて。
石膏ボードを貼った今の状況。
4寸角のヒノキの柱や梁成1尺2寸(360mm)のベイ松の梁が現しになっている。
余談だが、よく木造業界では現しの柱や梁を「化粧柱」とか「化粧梁」と言って、
それは節の無い、特別綺麗な木材を指すが、ボクはこの「化粧」という言い方は使わないようにしている。
あくまで無垢の木で出来た柱や梁を「現し」ているのであって、「化かして粧う」木では無いはずで、
「化粧梁」とはこんな梁を指す。ようはパッチもんの木の梁の事。
なぜ折角、無垢の綺麗な柱を使っているのに、自ら「化粧柱」なんて呼ぶのだろうか・・・。
言葉は正確に使いたい。
O邸は柱や梁が至るところに露出しているにもかかわらず、「省令準耐火構造」になっている。
省令準耐火は火災保険の等級を指す用語で、現在の火災保険の等級は、
M構造→T構造→H構造 という順にランク付けされており、H構造が一番燃えやすい構造で、
火災保険が一番高い構造になっている。
M構造:マンションのM。マンションは住戸ごとに完全に防火区画された耐火建築なので一番燃えにくい。
T構造:耐火のT。コンクリート造、鉄骨造、省令準耐火構造(2×4など)
H構造:非耐火のH。一般の木造建築。
要するに2×4のメーカーが、自分たちの2×4は火災に強いんだとアピールするために、
住宅金融支援機構(フラット35の元締め)を巻き込んでランクアップさせた木造で、
別に2×4自体が火災に強い訳では全然無く、
オール合板の構造を石膏ボードで全て見えないようにしないと商品にならないので、
それが結果的に不燃材である石膏ボードで包み込まれている事で燃えにくくなっている木造。
それをいかにもな呼称で「省令準耐火」と呼んでいる。
省令準耐火にすると火災保険は一般のH構造に比べて半額以下になり、
施主にもメリットがあるが、ただそう言って、折角の木造を全てボードで隠すのも本末転倒なので、
これまでは省令準耐火は使わなかったが、木住協仕様にすれば現しも可能になったので、
今後は積極的に省令準耐火も取り入れていきたい。