今どき、よほど恵まれた敷地条件でない限り、
この茨城でもなかなか平家の住まいを建てるケースは少なく、
その前提で、木造2階建て住宅のプランニングをする場合、
0.まず準備段階として、総予算を振り分け、本体工事費を算出し、延床面積を仮定する。
次に、
1.駐車場をどう確保するか、庭やアプローチの取り方をどうするか、
といった外部条件を整理し、住まいを建てられるエリアを、最も可能性のある案として、
一旦仮定する。
2.求められている必要諸室を列挙し、それらを1階、2階に振り分ける。
3.1階、2階の階毎に各々の床面積を仮定する。
ここまで来ると、日建学院でボクの1級建築士の製図講義を受けた諸氏たちは、
「講義の話しと同じじゃん!」と感じるはず(笑)。まさに実務と同じ事を、
建築士の製図講義でも口を酸っぱくして話しているに過ぎない。
1級取ったって実際に設計が出来なくては困るので。
で、ここからが製図と違うところ。
木造の場合、1階と2階の面積バランスを見て、プランニングのアプローチが変わってくる。
バランスのパターンとしては、
パターンa. 1階>>>2階(1階が2階よりかなり大きい)
パターンb. 1階>2階(1階が2階よりやや大きい)
パターンc. 1階≒2階(1階と2階がほぼ同じ)
の3つに分類される。
aの場合、まず1階のプランを検討して、その上で2階をどの部分に載せるか、
という検討になる。
bの場合、まず2階のプランを検討して、その2階の大きさに合わせて1階の柱位置を決め、
そこからはみ出す部分を下屋とする。
1階に入る部屋が2階の外壁ラインをまたがないようにしたい。
cの場合は、両方睨みながら、2階の面積が少し余るところに吹き抜けや
バルコニーを設けて、1階と2階の外形を揃える。
いずれのパターンも家事動線やプライベート部のゾーニングなどを常に強く意識しながら、
そして構造的に無理が無いように、上下階の壁位置を考慮しながら、
何度も何度もエスキスを繰り返して、一つの案に収束させていく。
そして収束した案は・・・、当たり前だが、それまでで最も単純な答えになる。
と言うか、単純な答えになるまで、エスキスを繰り返す。
この、建築を創る・・・設計から施工に至るまで・・・全ての課程において、
最も複雑で統合能力の必要とされるファーストプランは、
設計事務所を構えている以上、どんな状況であろうとも、
全てボク一人で考える事になる。