これはよく設計中に話題になること。「自然素材で仕上げた内装にしたい」と言われることは非常に多い。確かに人工的に生産された素材よりも、体には良いのだろう。ただし実際に、ビニルクロスがどの程度体に悪くて、漆喰や珪藻土がどの程度体に良いのか、ボクにははっきり説明出来ない。想像以上にクロスが体に悪いのかもしれないし、珪藻土や漆喰に化学物質が全く入っていないのかも、よくわからない。
たぶんこれからもずっとこの「自然素材信仰」は続くだろうし、それが悪いとも思わない。ボクは住宅というモノを売る商売をしているのではないので、素材へのこだわりはあまり無く、常にその家族に合った住まいを設計したいので、使う材料も適材適所で使い分けていきたい。工務店が自然素材を使った住まいをウリにするのは別に構わないが、設計事務所は自然素材を使う事をウリにすべきでないと思っている。
自然素材にも長所短所があって、いかにその短所を設計の工夫によって解決しているか、設計事務所が自然素材を使う場合のウリは「工夫」に尽きると思うが、その「工夫」をウリにする程、ボクの設計の経験が豊富で無いのも事実。このあたりはこれからも少しずつ学んでいくしかない。
いま内装施工中の現場でも、門井O邸は、
土を原料にしているクレイペイントを使っている。自然素材98%がウリ。仕上がりはさらっとしていて、いかにも「塗りました~」感が無いのが良い。
同じく内装施工中の吉沢町I邸は全てクロス貼り。
今回はいつも使っている品番ではないクロスを選んだので、どんな感じに仕上がるのか楽しみ。
実際、どちらが良くてどちらが悪いという事も無く、住まい方と予算に応じて仕上げはいつも決めている。
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